ワンちゃんの咳について

「咳」という症状から思い浮かべる病気は何ですか?おそらく多くの方が風邪などの感染症を連想すると思います。けれど犬の場合、人間の風邪にあたる病気はありません。犬が咳をしている場合に多い病気は心臓病なんです。心臓が悪いとどうして咳が出るのでしょう?それは犬の心臓の位置が気管支の下にあるからです。心臓病が進行すると、心臓が拡大して気管支を圧迫するとその刺激で咳が出るようになります。最初はのどに何か詰まったようなしぐさの空咳(乾いた咳)ですが、病状が進行すると多くの血液が左心房や肺に「うっ滞」するため肺に水が溜まり(肺水腫)、頻繁に咳(湿った咳)が出るようになります。そして、昼よりも夜に咳が出ることが多いのも特徴です。これは起きている時と寝ている時の姿勢が異なることが影響しています。寝ている時は体を横にして休むので心臓と肺の位置が低くなり末梢の血液が肺に集まってくるようになり、咳が出やすくなります。また、寒い冬の日などは血管が収縮して血圧の変化が起こり咳が出ることがあります。心臓病は初期の段階ではすぐに症状が現れません。咳が出る頃には症状が進んでいるということになります。心臓病になった場合、お薬を飲ませて心臓の負担を抑えるようになり一生涯の投薬が必要になります。食事療法や運動制限なども必要になってきます。心臓病は早期に発見し早期に治療を開始すれば、延命できる事も研究で明らかとなってきています。動物病院での定期検診をおすすめします。

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